大人的恋愛事情
いい大人の男で、しかも社内一モテるほどの男。
そんな男に彼女がいないわけなく。
私を好きだったのも嘘ではないのかもしれないけれど、だからって彼女も作らずにずっと想っていたわけでもないだろう。
そんな当然のことを今まで考えもしていなかったりして。
何よりその事実に自分でも驚くほど、ショックを受けていることにまた驚きだったりする。
「繭さん? 大丈夫……」
「そうよね」
「繭さん……」
「当然よね」
「……」
「いるに決まってるし」
「……」