大人的恋愛事情
 
「今さらなのはわかってる」



「……」



「でも……」



そう言いながら、スーツのポケットに手を入れる圭。



そして出して来たそれをテーブルに静かに置き、こちらに押し出すように差し出してくるそれは、紛れもなく指輪が入っているだろう小さなグレーのケース。



差し出したテーブルの中ほどでそれをゆっくりと開けると、中にはやっぱり小さな宝石の付いた指輪が入っていた。



「許してくれとはもう言わねえ。ただ……」



ただ?



「もう一度俺を見てくれないか? 新しく俺を見て欲しい。結婚はいつでもいい、繭が納得できた時で……」



「待って……」
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