大人的恋愛事情
「もう10分も過ぎてる」
「ごめん、出る時電話が入ったから」
そう言いながらも、どうして責められているのかよくわからない。
そんなことを思いながら、ソファの背凭れに腰かける藤井祥悟を見ると、その表情は少し困ったような顔で……。
「来ないかと思った」
そんな弱気なことを言う藤井祥悟に、やっぱり私の胸はキュッとなる。
「来るわよ」
「俺なんか相手されてないのかと……」
「そんなわけないじゃない」
「何度か諦めようかとも思ったんだけど……」
「諦めないでよっ」