大人的恋愛事情
 
「誰とでも寝るみてえだし……」



さすがにこの言葉にはどう返せばいいのかわからず、思わず無言になり顔を背けると、ソファから腰を上げる藤井祥悟が、身体を傾けて視界に入ってくる。



そんな何気ない仕草にすら胸がドキドキなんかしたりして……。



「でも、やっぱ好きなんだ」



低く優しい声でそう言われて、切なくキュッと音を立てる胸に思わず泣きそうになる。



それなのに、視界に入る藤井祥悟からやっぱり視線を逸らしたままでいる私。



ここにきても素直になりきれない、私の腕を掴み優しく引き寄せる男。
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