大人的恋愛事情
 
後ろ手にドアを閉めながら、小さなツインルームの明かりを点けると、先に入った繭がコートを脱ぎベッドに座りながら俺を見上げた。



「で? 先にシャワー?」



簡単にそう聞かれて少し笑う。



「いや、やっぱいい」



俺の言葉に首を傾げ、見上げる繭の潤んだ瞳が明りに揺れる。



「いいって?」



「しなくてもいいって事だ、寝たいなら寝てもいいし、もう少し飲んでもいい」



いくらなんでも酔った勢い的な事は違う気がしてそう言うと、瞳を潤ませる女が溜息を吐いた。



「なにそれ……寝たくもないし、もう飲む気分じゃないんだけど?」



呆れたような声を出して、座った姿勢のまま煩わしそうに髪を留めていた髪留めを外す。
< 557 / 630 >

この作品をシェア

pagetop