大人的恋愛事情
 
ケーキに灯された蝋燭の淡いオレンジの灯りが、電気を消したリビングに揺れる。



「おめでとう」



隣に座る男がそう言ってくれて、それを吹き消すと一転して薄暗い闇になるリビング。



それでも隣に藤井祥悟がいてくれると思えば、寂しくもないし怖くもない。



きっと家族になるというのは、こういうことなのかもしれない。



いつだって、必ずそこにいてくれる。



どれだけ仕事ですれ違っても、どれだけ時間的に余裕がなくても、それでもその存在がそばにあるという揺るぎない契約。



それが結婚なのかもしれない。



薄暗いリビングの中、一度消えた灯りがまた揺れる。
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