大人的恋愛事情
 
「馬鹿なことするからよ」



仕事終わりのロッカールームで項垂れる私に、詩織が冷たく言い放つ。



「まる善にしとけば、あのメールは流れなかったわよ」



「どうしてよっ」



詩織に当たっても仕方ないとはわかっていても、ついつい苛立つ口調になる。



「まる善だと人も多いし、合い席も普通だし偶然で片付いたかもよ?」



確かに……。



無駄に高級で他の社員も行かない店だったために、やけに目立っただけなのだろう。



「いいじゃないですか、相手は藤井さんなんですから」



そんなことを言う美貴ちゃんが、ブラウスを脱ぐ。
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