大人的恋愛事情
「奢ってもらえるなら、いつでもご一緒しますよ」
どうして私が火消しみたいなことまでしないといけないのか。
「そうなのか?」
「いいですね、佐野さんと食事が出来るなら二千円出してもいいかも……」
若い男性社員の声を後にサッサと会社を出る。
「あんなこと言っていいの?」
詩織の批難するような声に、足を止めずに歩きながら答える。
「なにが?」
「あんた意外に自覚ないけど、年齢のわりにそこそこ人気あるよ? そりゃあ若い子には勝てないけど、年上好きの若い男性社員の中ではいつも上位に入ってるらしいよ?」