大人的恋愛事情
 
いい、あのね?



今、社内で私達は完全に注目の的なのよ?



それを、社内のカフェなんかで呑気にサンドイッチ食べてる場合じゃ……。



そんなことを思う私を振り返って見ていた藤井祥悟が、微かに笑って口を開く。



「あの日は、随分簡単について……」



「行くわよっ!」



何を言い出すかわからない男に、思わずそう言って立ち上がる。



いよいよ後悔が押し寄せ、苛立ちが治まらない。



そんな私を無視して詩織と美貴ちゃんと藤井祥悟が、楽しげに会話している後ろから付いて歩く。



もはや平穏な日常は完全にどこかへ行ってしまった。
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