大人的恋愛事情
気を取り直して、受話器を取り2番のボタンを押しながら、椅子から降りて落ちている領収書を拾う。
「お待たせしました、佐野で……」
『二千円出したら、昼に付き合ってくれるって聞いたんだけど』
その声に驚き思わず立ち上がりかけて、デスク下に潜り込んでいたことを忘れていた。
ゴンッ!
と鈍い音がして頭に衝撃が走る。
「痛っ!」
「繭さん大丈夫ですか?」
領収書を拾い上げ、驚いてこちらを見る美貴ちゃんに手を振って笑って見せながらも、動揺した胸がドキドキと音を立てて治まらない。
『痛い?』