大人的恋愛事情
 
どこがどうとは説明しきれないけれど、時々見せるこの素の笑顔に私はいつも夢中だったように思う。



私だけに見せる、リラックスした顔。



「聞きたいからだよ」



「どうして? 圭に関係ないんじゃない?」



「そうか?」



「そうよ」



投げやりに返しながら、苛立つ気分を押さえなければいけない私は、まだあの時のことを忘れていないらしい。



「何かあったのか」



「なにが?」



「藤井さんとだよ」



「別に……」

< 98 / 630 >

この作品をシェア

pagetop