crocus


「桐谷さんはオーナーさんとの関係を契約と言いましたけど…でもやっぱり…オーナーさんは桐谷さんを信頼しているから、今みたいにお店を任せていらっしゃると思いたいです」

「…契約と言う言葉が残念だったか?」

「それも…少しはあります。私がお2人の関係性を勝手に美化してるのかもしれません。だけど…本当の信頼って、側にいた時間で築けるというものじゃなくて、桐谷さん自身が積み重ねて努力してきた姿勢から得られる尊いモノだと思います。オーナーさんはそれを見て信じているんだと思います」

「…俺の努力した時間が信用に価する…か。ふっ…そうか」

黙って会話を聞いていた恵介は要の表情を見て、ギョッとした。あの要が、計算も何もない無防備な微笑みを浮かべたからだ。何か1つ重い枷が外れたような解放感のある爽やかさ。


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