crocus
鮫島さんと、もう1人が車から降りると、ちゃんとカバンを持って建物内へと入っていく。
その様子を見つめながら、恵介は何かが頭に引っ掛かっていた。
「大島グループって…あっ!そうだ。要…」
雪村さんのことを探していると、大島グループの田辺が言っていたことを思い出した。まだ雪村さんには伏せていた方がいいだろう。
要自身も同じように判断したのか、1人シートベルトを外した。
「あぁ、雪村さんと恵介はここにいてくれ」
「でも、お1人では…。私も最後まで…」
「気持ちはありがたい。だが、その格好は少々目立ちすぎる」
雪村さんは自分の着物姿を見下ろして、言葉に詰まった。その隙に要は恵介に相槌を打ってから、ドアを閉めた。ちょうどスーツを着ているし、要なら何とかするに違いない。
そして、ついに車内に2人きりなってしまった。