crocus

予期せぬ連鎖


        ***

「哲平を追い込んだ張本人のくせして!よくそんなことが言えんなぁっ!?」

「…恭平…そうか、君が上田恭平くんだったのか。その様子だと何か榊原くんから聞いたみたいだけど…その証拠はあるのかな?…あんまり大口を叩くのは利口じゃない。名誉毀損で訴えられちゃうよ?」

怒りに打ち震える恭平と、冷静さを保つ鮫島さんは、互いに目を逸らすことなく火の粉をバチバチと飛ばし合っている。

理由が分からない誠吾が、哲平くんを見れば、思い詰めた表情で視線を斜め下に落としている。歯を食いしばり、握り締める拳は時折震えている。

そういえば、ここで落ち合った時から2人の様子はおかしかった。

社長の息子さんの部屋に向かえば、かなめんを見つけることが出来なかったので、最上階の社長室がある階に琢磨と一緒に到着すれば、若葉ちゃんと恵介の姿があった。

第一秘書室の前に膝をついて、神妙な面持ちで中の会話に聞き耳をたてていた2人。恵介と目で会話すれば、誰が中にいるのかはすぐに分かった。

誠吾も聴覚を研ぎ澄まし、会話を理解しようとすれば、肩をトントンと突かれた。

心臓は激しく跳ねたけれど、物音を立てないように努めながら振り向けば、恭平と哲平くんが立っていた。

2人の間には、再会した直後の気まずい雰囲気はなくなっていた。きっとここに来る間に、話をしたんだろう。

むしろ、2人の目の中には、さっきまではなかったゆらゆら揺らめく闘志が宿っていた。

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