恋ってよんでもいいですか?
「わこちゃん、今日学校は?」


隼人くんが腕の力を少し弱めると同時に、私を覗きこんだ。


たったそれだけのことなのに、私の胸はキュンとなる。


「ん。土曜は休み。」


「そっか。俺、午前1コ講義あって、その後バイトあるんだわ」


「土曜なのに、講義あるんだ?」


「うん。教職とってるからね」


「そうなの?!」


隼人くんが先生なんて…いいなぁ、教えてもらえる生徒は。


「あ、なんの先生なるの?」


「んー。高校の数学。っていうか、先生なるかどうかはまだ決めてないんだ。でも来週から母校で教育実習」


教育実習…か。会えなくなるのかな。


「母校って?遠いの?」


「いや、近いよ。だからちゃんと会えるよ」


弱まっていた腕に力が込められた。


2人とも裸でベッドの中でするような話じゃないと思いながらも、そんな色気も何もない話、むしろ現実的な話をこの状況で出来ることが、隼人くんと昨日より親密になれた気がした。




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