アイ・ドール
「葵ッチやモカッチモコッチの方が可愛いってぇ――うわぁ、痒いっ。あんたも所詮、そこらの変態と一緒だね――」
「へっ――」
「どうせさ、葵ッチがメイド姿になって、お帰りなさい御主人様――なんて言わせてエロイ御奉仕させる事を妄想したり、モカッチモコッチが突然、目の前に現れて、やっと逢えたねお兄ちゃん――って再会を果たした双子の妹達とのエッチな共同生活――みたいなバカげた物語を頭の中で創り上げて、猥褻な欲望を爆発させてさっ、ホントにどうしようもない妄想変態エロオヤジだねっ――」
「う、うるさい、うるさい、うるさいっ――」
駄々を捏ねる多田坂――幼い子供の様な振る舞いだった。
「で、その終着点が、まともな人間関係も創れず、風俗で初体験済ませてありもしない妄想で、葵ッチ結婚しよう。僕も君に一生御奉仕するよ――なんて言って勝手に悦に入っちゃってさっ――その姿が痒くてウザキモイんだっつうの。このキモッティ素人童貞野郎がぁっ――」
アリスは大きく振りかぶると、奪い取ったスマートフォンを多田坂に投げ放った。
「うわっ――」
両手で頭を庇い、体を縮める多田坂――。