アイ・ドール
「自らの罪に苛まれ――――自殺――世間には、そう周知されるでしょう――――」
「――――」
「それでいいのよ。あんな男に普通の、安らかな死などあり得ない。人権、権利――冗談じゃないわ。五人の命をいたぶっておいて無実だなんて――――狂っているわ、男も、滑稽な言動に鈍感になってしまった私達の世界も――」
「恐らく、自殺――と発表しても――あぁ、そんな事件もあったわね。ほんの一瞬、事件の記憶を頼りなく手繰り寄せ、消去してゆき、人々は偽りの日常へと意識を戻してゆく――――自分が生きる領域には関係のない出来事と拒絶しながら。そんなものよ、所詮人間なんて――私も舞も、そんな世界の住人なの――――」
「なんだか、寒くなってきたわね。もう帰りましょうか舞――――本当は被害者のご遺族を呼んで、何をしても構わないと、あの男を預けたかったのだけれど、秘密保持の関係からそれもままならなかった――残念だけど、これで許してもらうしかないわね――本当に残念だけれど――――」
言葉の悲痛さとは裏腹な、何処か満足感と快楽を得たかの様な昇天した視線を残し、礼子さんは足早に出口へと向かう――。