アイ・ドール
クレーン車がアームを伸ばし、大型トラックから資材の入ったカゴを、器用にメインステージ脇へ次々と降ろし、待ち受けたフォークリフト車が降ろされたカゴを更に細かく必要な場所へと振り分ける――。
「そこのパイプ、持ってこい――」
職人が声を飛ばす――。
指示されたパイプがどのカゴにあるのかわからず、右往左往する労働者達――――。
「そこのカゴにあんだろうがっ――」
動きの悪さに苛立つ職人――――慌てて数人の労働者が、カゴからお目当てのパイプを重そうに何本も抱え、職人に渡す――――職人に怒鳴られても、だるそうに立ち、行動を起こさない労働者もおり、責任者に促されてしぶしぶ体を動かす――。
「今日のバイト、使えねぇな――」
「ったくだよ――――」
二人の鳶職が私とすれ違った時、吐き出された本音――――。
そうね――――でも悪いわね――彼らも、愚痴を言っているあなた達も、私のアイドールを輝かせる「道具」でしかなのよ――――。
「御苦労様――――」
何だか、自分が嫌な女に近づいてゆく――――ふと笑い、額に手の甲を充てた――。