アイ・ドール

私の、「最後の晩餐」の選択を万希子さんは理解し、自分を呼び捨てで呼んで下さいと躰を少しよじり、頬を火照らせながら、恥ずかしそうにねだる――――。




こくり――――。



何も言わず、頷いた――――。



「はぁっ――――」


嬉しさ、快楽とも思える声を漏らし、万希子さんは様子を見に来たアリスと共に、メインステージへと駆けてゆく――――。





そう――――後悔する事なく、力の限り歌い、踊りなさい――力尽き、倒れたとしても私はあなた達の躰を抱き上げ、再び純粋な魂と躰を蘇らせてあげる――――。






ドーム内の照明が消され、オープニングテーマが流れる――。



「オーイッ」


「オーイッ――」



テーマ曲のリズムに合わせて、雄叫び、体奮わすアリーナ席の狂信集団――。


詩織――。

万希子――。


アイドールの姿が、スクリーンに次々と映し出される――メンバーの姿が変わるたび、地鳴りの様な声援が沸き上がり、オープニングはクライマックスに達してゆく――――。





「ドォーン――――」


凄い爆発音と風圧がドームに広がる――。

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