アイ・ドール

その瞬間、眩い閃光がメインステージから放たれ、僅かの静寂の後、楽曲のイントロが流れ出す――――。



閃光から解放されたメインステージには、ヴィーラヴが「降臨」し、踊っている――――。



詩織が一歩前に出て、右手を高々と天頂に突き上げ、ドーム内を見渡す――――。






「札幌っ――――行くよおっ――――」



「ウォーッ――――」




ドームが、札幌の街が崩壊する様な偽人達の声が響く――。




その声はまるで、もうここで命が終わっても構わない――いや、寧ろそうであって欲しい――そうして下さい――と願っている様に私には聞こえた――――。







天空は、月が支配し、偽人達の咽び泣く声に耳を傾けていた――――。

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