マイティガード



その謎の人物によって、オドワイヤーが撃たれた。



…だが、パーシバルは犯人を捕まえに行かなかった。


電極なんて弱く張り付いているだけで拘束力はないのに。

本来ならば、お嬢様の前に現れた敵に対しては恐ろしいくらいの殺意が湧き、許しがあれば飛び出して行ってしまうのに。


「…………ッ、」


パーシバルはそれを躊躇った。



…その理由はなんとも単純で、なんとも哀れなもの。



『パーシバル、今日はお仕事休んで。』



それは最後にアネリから下された命令。

自分は一日仕事をせず、療養に励まなければいけない。
それは大切なアネリと交わした約束だから。


―――いけない…。お嬢様のお言葉を違(たが)えるわけにはいかない…!



目の前の人物は一連の犯人かもしれない。

しかしパーシバルは目先の犯人よりも、アネリとの約束を選んだ。


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