スピン☆オフ

お姉さんが、誰より彼氏が大好きなのを知っていたから。


だけど彼女は行くなと言うし。


モヤモヤ状態を抱えたまま過ごしていた。


数ヵ月後、彼女の言う通り二人が戻ったと聞いた。


その時は、どんなに嬉しかったか。


…その数日後、お姉さんは実家に帰ってきた。


法事があってね。


その2日後、お姉さんは死んじゃったんだ。


何人もの男に襲われて、顔や体中、殴り蹴られて。


山の中にゴミを捨てるかのように、ポイっと捨てられていたんだ。


いまだに犯人も見つかっていない。


彼氏はお姉さんの最後を見ることも許されなかった。


あまりにも無残な姿を好きだった人には見せたくないだろうからって、お姉さんの両親が会わせなかった。


お兄さんは、大粒の涙をこぼしながら話してくれた。


言葉に詰まったのか?


その先の話が出てこない。


だけど、あたしは知っている。


泣いていたはずのあたしが、微動だにせず顔を真っ青にして座っている。


お兄さんに掛ける言葉も見つからない。


だって、それって冬槻先生と霧生くんの事でしょ?


少しの沈黙の後、そのまま話を続けてくれた。


遺体が発見された時、襲われていたのも確認できた。


それも、複数の人間の犯行と断定された。

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