・+◇【短編】White love letter
『‥‥‥‥‥ごめん』
あなたは私の様子に気が付き、いつもの雰囲気に戻りました。
『俺な、湖の伝説を聞いた事が父さんとの最後の思い出なんだ。』
あなたは静かに話し始めました。
『父さんは俺の見舞いに一回も来なかった。だから入院する前に湖の話を聞いた時が最後に父さんを見た時で‥。いつもなかなか遊んでくれない父さんがその時だけは俺と一緒に居て話しをしてくれた事がすごく嬉しかった。』
あなたの目は涙でいっぱいでした。
『だからこの湖の伝説は、俺にとって光の象徴みたいな、希望の象徴みたいなものだった。
伝説を思い出せば、俺がちゃんと親から愛されていたと思えた。』
ひとつひとつを振り返るようにあなたは話していましたね。
『母さんは俺が中学生になる頃から見舞いに来なくなった。
家族の誰かが見舞いに来てくれるんじゃないかって毎日毎日期待したよ。
でもそれは叶わなかった。俺は絶望する度に伝説を語ってくれた父さんを思い出して自分は愛されてたんだから大丈夫だって言い聞かせた。』
あなたの声は震えていました。
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