その妖、危険につき
「誰も気づかないの?」

「ひなたが気づいた」

「こんなことになんなきゃ気づかなかった」

「そりゃそうだ」

背中で彼が震えているのを感じた。笑っているらしい。


彼を怖いと思う気持ちは、ほとんど感じなくなっていた。あと二年したら殺されるというのに、本当は優しい人なんじゃないかと思ってしまう。


そう思ったとき、彼が私の体に回した腕が上のほうに動き、私の胸に触れた。

「ちょ、何して…」

「…ああわりい。女って雰囲気大事だから流れ?」

「…昨日もあのとき、服の下に手入れなかった?」

「生気もらうんだから喜ばせてやろうかと思って。なんなら処女失わない程度にやってやろうか?」
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