その妖、危険につき
ハンバーグができたからごはんにしようと思ったら、廉がソファで寝ていた。
近づいてみると、廉は起きているときには見せないような無防備な顔をしていた。
こうして見ると、廉はとてもあやかしには見えなかった。二年後に私を殺すと言った廉の姿にリアリティがない。
長めの黒い前髪が目にかかっていて、目を閉じているとはいえ、うっとおしそうに見えた。うっとおしそうだった。そっと廉の顔に手を伸ばし、前髪をどけようとすると、突然伸びてきた廉の手が私の手を捕えた。
一瞬にしてソファに引きずりこまれ、気づくとソファに横になっているのが私で、見下ろしているのが廉になっていた。