好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕
私は悪夢を振り払うように、またブーツの紐を結びはじめた。

逃げるように玄関の扉を開けると、ジャケットをラフに着こなす、モデルのように爽やかな青年が待っていた。

「やあ、今日も可愛いね」

淳から、ほどよく甘い香りが漂っていた。

制服のときよりも、何倍もカッコイイ。


誰もがうらやむ彼氏、なのだろうと

他人事のように感じた。
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