好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕
うそ。

電話でよかったじゃない。



こんな涙でぐしゃぐしゃの顔

見られなくて済んだんだから。


「とにかくさ、俺は牛の世話。愛崎には農場の経営を任せたいと思ってるから」

「どういうこと?」

「お前、頭いいし。大学に行ってさ、しっかり経営を学んでくれよ!」


じゃあな、と一方的に切られそうになって

私が無理やり話しかけた。


「ちょっと! ねえ!」


「何だよ」

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