あの子の好きな子



「なに、聞きたいこと」
「あっ、えっとね、えっと・・・血液型!」
「血液型?」

広瀬くんは眉をひそめた。「なんでそんなこと」とでも言いたそうな顔だなと思ったすぐあとに、「なんでそんなこと」と広瀬くんは言った。

「なんでって言われても、なんとなく・・・私、ほら、広瀬くんに興味あるから」
「だからその、興味があるってなんなんだよ。怖いんだけど」
「こ、怖いかな!?」

広瀬くんはうんと言って私の両目をじっと見つめた。広瀬くんが、まっすぐに、私を見つめている。広瀬くんの瞳の中に私が写っているのがわかりそうなくらいに、広瀬くんは私をじっと見つめる。恥ずかしくて、耳がかあっと熱くなっていく。

「わかんないな」
「えっ・・・」
「お前が何考えてんのか、全然わからない」
「う・・・、あ・・・」

広瀬くんはふうとため息をついて、私を見るのをやめた。助かった。

「何考えてるって・・・だから血液型が知りたいと・・・」
「だから、なんでだよ」
「いいじゃんクラスメイトに血液型聞いたって・・・だめかなあ」
「興味あるとか言われて気味悪いだろ」
「そんな、男に興味あるって言われたわけじゃあないんだし・・・」
「B型だよ、それがどうかしたか」
「B型?へえ、そうなんだ、B型かー」
「・・・」
「・・・」
「それで終わりかよ」

広瀬くんはつっこんだけど、私は今まで知らなかった広瀬くん情報のひとつが手に入ったことが嬉しくて仕方なかった。


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