夫婦ごっこ
秘密を持ったことでなんだか楽しくなった。
どうせ恒くんだって秘密一杯持ってるんだし
私だってそんなの一つや二つないとね…。

日曜日もパソコンばっかり見てる恒くんに
いらついていた。


「昼は何食べたい?」

「いらない。」

会話にもならない。

あの人の電話では甘い言葉も囁くけど
雇われ妻には声もかける暇もないって言うの?

「じゃあ夕飯は?」

「別にない。」


ムッカ~~~~ァ~~!!!

「あのさ!!」恒くんの背中にアイロンをかけていた
ワイシャツを思いきりぶつけてやった。

「ん?何?何を怒ってんだ?」

ワイシャツをひろいあげてハンガーにかけた。

「会話ってさキャッチボールじゃん?
話し切られたらそこでおわりでしょ?
そんなに私と話す時間も無駄?
雇われ妻だから 気をつかうこともないだろうけど
私だって人間なんだもん。」

その怒りをぶつけるところを探して
ゴミ箱を蹴りあげた。

「おい!!何すんだよ!!」

恒くんは ゴミ箱のゴミを拾い集めた。
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