夫婦ごっこ
真実
部屋のカギは恒くんが持って行ったから
私はとっても風呂に入る気にもなれなかった。
どこかに行って 思いっきり泣きたい。
でも今 ここに私が泣ける場所なんてないから…。


  ミミちゃんに電話しよ…。

気分をかえて…少し冷静にならなきゃ。


「は~~い SIGEMIMIで~す。」

ビオンだとすぐわかった。

「あ…ミミちゃんは?」

「誰?」

「あ ごめんなさい 紅波です。」

「あ~おまえか~~どうした?
ミミちゃんは休憩だぞ。」

「別に用事はなかったんだけど 忙しい?」

「ちょっとまえから客ゼロ~疲れたよ。
おまえは温泉なんだろ?どうした?」

「あのね
おまえおまえって言うけど私は紅波って言うの。」

「知ってるよ。」

「だから紅波って呼んで。おまえって呼ばれるのなんか
ムカつくんだよね。」

「あ そ。じゃあ紅波
温泉たのしくないのか?」

「うん?たのしくなくはないけど…なんか暇で…。」

ビオンが話しながら何か食べているようだった。

「何 食べてるの?」

「今日のランチの残骸~これめっちゃ美味いんだよな~。
ミミちゃんの角煮 全部売れて鍋にこれだけ。」


ビオンとくだらない話をして
時間をつぶした。


少しだけその間だけ たのしかった。

「ね・・・ビオン
この間歌ってくれた片想いの歌…
今 歌って。」


どうしてもその歌が聞きたくなった。
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