夫婦ごっこ
真実はどうであれ…もう怯えるのはやめた。
私は私の手で 恒くんを奪ってやる。

本当の意味での夫婦になってやる。


大きく深呼吸して
息を吸って吐いた。

トイレから出て来た恒くんが近づいてくる。


「紅波…起きろ…。」


「ん~~うん……もうご飯?」

「だよ。行こう。腹減ったよ。」

「はい・・・。」

起き上がろうとしてふらついたフリをしたら
恒くんが慌てて抱き寄せてくれた。

「大丈夫か?」

「うん。ちょっとめまいしただけ…。」

  全然大丈夫だしね

恒くんが少し乱れた浴衣を気にして胸元を
直した。

「行けるか?」

「うん お腹減ったもん…。」可愛く言った。

恒くんが優しく笑った。

「だけどまだちょっとめまい……。」
恒くんの胸に顔を埋める。


  恒くんを絶対に渡さない

「しょうがないな~~。」

恒くんは私を抱きしめて頭を撫ぜてくれた。
 

  私を好きになってもらえばいいんだよね。
  そしたら恒くんだって苦しまないよね?
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