夫婦ごっこ
「結婚しても 俺と紅の間に
男女の関係は無。ただ紅は俺の
奥さんのフリだけしてくれればいい。
要するに俺は 雇い主……。
紅は俺の外見上の妻になってほしいんだ。
報酬は俺の給料の中でやりくりして
好きなもの買っていいから
そこらへんは紅に任せる。」


「好きにならなくていいの?」

「どうしても紅がなりたいって
言うんなら…。仕方がないけどな。」

と言って笑った。

「あり得ないよ。」私。


「だよな~~。
あくまでもこれは契約だから。
お互いのこと好きになるのは
契約違反だということで……
紅は自由にしてくれていいんだ。
ただ恋するのも…
世間にはばれないように…してくれたらいい。」


「難しいな…。
ようするにお互いに心も体も別物だけど
戸籍上名前と外面だけ大浦 紅波 に
なればいいんでしょ。
おもしろいじゃん。」


その日 私と恒くんは
契約を交わした。


雇い主の 恒くんと夫婦のふりをする。
その関係に
愛だの恋だのは成立しない夫婦


恒くんと私の


夫婦ごっこが始まった。
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