夫婦ごっこ
恒くんが帰って来たのは 10時を過ぎた頃だった。

「ただいま。」

私はダイニングでボーっと座っていた。

「あ おかえりなさい。」

「疲れたから…寝るから。」

いつもと変わらない恒くんなのに
もしかしたらもう私を軽蔑しているんじゃないか

だから話してくれないんだろうかと
考えてしまっていた。

携帯が鳴った。
恒くんは部屋に入ってその電話を受けていた。

「何?何で?
それは別にプライベートなことで……うん……
………わかった………明日 謝ってくる。
迷惑かけて…ごめんな。」


電話は終わった。


  プライベートなこと……?


  私のことだ・・・・。



「っちくしょ~~!!」

何かを壁にぶつけたすごい音がした。


  私のせいだ……。


顔を覆って 泣き声を殺した。
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