夫婦ごっこ
お昼になるまえだったから
ハンバーガー屋は空いていた。


私はバーガーを頬張ったけど
恒くんは ポテトだけ
携帯片手に食べる。


「お腹空かないの?」


「うん…夜しかあんま食欲ないんだ。」


「だからやせてガリガリなんだ。」

恒くんはほんとにガリガリしてる。

「昔は筋肉バカだったのに……。
私に自慢してたじゃん。中学生に腹筋見せて…。」


携帯から顔をあげて

「昔は楽しかったよ。」と笑った。


ひさしぶりの笑顔に一瞬キュンとした。

「あんまり笑わないんだね。」

「笑う必要ないじゃん。今まで一人だし
あの部屋で一人で笑ってたら逆に怖いし。」

「別にそういうことじゃなくて……。
もういいや なんか恒くんめっちゃ可愛くない。」


恒くんは一瞬あっけにとられてたけど

「言っとくけど 別に俺は
紅波によく思われようとかそんな努力は
しないからな。紅波も外面だけ
うまくやってくれたら 二人の時は
気つかわなくていいからさ。
とりあえず家事だけは お手伝いさんと
同じでこなしてくれれば
あとは俺の性格に合わすこともないよ。」


  かわいくない…
  いつからこんなにひねくれたんだろ
< 26 / 346 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop