夫婦ごっこ
解消への甘い時間
私があんまり恥ずかしがるから恒くんもすっかり
おかしくなって なんだかぎくしゃくしていた。

「もっと…もっと早く言ってほしかったな。
その嬉しい言葉……。」

恒くんがワイングラスをおいた。

「結婚してもう二年だもんな。
何もしてあげなかったな。」

「女とも見てもらえなかった……。」

私は本音が飛び出した。

「私にもちょうだい。」ワイングラスを差し出した。

「大丈夫か?一度ビール飲んで目回ったろ?」

「いいの。まわったら介抱してくれるでしょ?」

「いいよ。今日は仕事もないし明日も海で
ボーってするだけだしね。」

恒くんがワインを注いでくれて一気飲み。

「一気じゃなくてさ ゆっくり楽しむんだって。」

酔って酒の力でも借りないと素直になれないもん。


  時間がないの……。


私の最後のわがまま ちゃんと伝えられるように
酒よ・・・・・手をかして……。


案の定…部屋に帰ってひっくりかえった。


「ほらな~~。弱いんだから…悪い男の前で飲むなよ。」

「へ?」

からだじゅうが心臓だ。

「だから酒弱いんだから好きな男以外の前で飲むな。
犯されるからな。」


  このタイミング…逃さない……。
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