夫婦ごっこ
もう消えてなくなりたい。
あの台詞に怒ったなんて 私の事を軽蔑したに違いない。

これ以上 恒くんに嫌われたと思うと
情けなくて悲しくて絶望していた。

ワンピースにカーディガンを羽織って
私はふらつく足で部屋を出て……
ホテルのビーチじゃない  先のビーチに向かって歩く。

「バカ どんだけ私が勇気出したか…知らないくせに
あんな言い方しなくたっていいじゃん。
恒浩のばかもん!!!」

酔った足は千鳥足でとうとう砂浜でひっくりかえった。


満天の星が落ちてきそう。
だけどその星もすぐに涙で見えなくなった。


「バカ・・・・紅波のバカ
くだらないこと言わなかったら楽しく帰って
握手して別れられたのに……
抱いて何て言うから……。」

自分の口から発した

淫乱な言葉を強烈に恥じた。


素直になんかならなきゃよかった
嫌われるくらいなら 笑って終わらせればよかった


恒くんが怒っていたのがショックだった。


しばらくしてビーチに数人のグループが
やってきて 花火を始めた。


若い声は男の数人の声だった。


やばい…見つからないように……
逃げようと思ったけど足がふらついてすぐに
転んでしまった。


「あれ~~なんかいるぞ~~。」

男の声が近づいてきた。
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