夫婦ごっこ
隣に社宅に新しい人が引越しをしてきて
挨拶回りをしているようだった。

管理人さんとゴミ当番の話しをしていたら

若い夫婦がエレベーターから出てきて
管理人さんに挨拶を始めた。


「大浦さんと同じ課なのかい。
この人大浦さんの奥さんだよ。」

突然 話を振られて驚いた。


「あ 主任の若くて可愛いっていう……
長崎です。こっちは妻の美鈴です。」

「大浦の家内です。主人がいつもお世話になってあります。」

「そんなそんな 俺の方がもう世話になりっぱなしで…
夫婦ともどもよろしくお願いします。
主任はいらっしゃいますか?また後で
伺いたいのですが。」

「はい。伝えておきます。」

二人は私と管理人さんにペコリと頭をさげて
隣の棟のエレベーターに乗り換えて行った。

「なつかしいな~~うちも昔あんな感じだった~~。」

ぼそっと声が出た。

「もう二年たつかい。幼妻ちゃんはすっかり
若妻へと変身したよ。
社宅のゴミ出しや駐車場の雪かき
ゴミ拾い……進んでよくやってくれてね
若いのに 大きな声では言えないけど…その辺の
おしゃべり奥さまたちよりずっと頑張ってくれて
ありがとうね。」


管理人さんが褒めてくれて
私はすっごくうれしくなった。

もうすぐ…この社宅からもお別れなんだな。
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