夫婦ごっこ
「笑わないでもらえますか?
この決心をするまで俺がどんな思いだったか……。」

ビオンが爆笑しだした。

「てめー笑うなって言ったよな。」

「だってさ…なんで?俺そんな話聞いてないしさ。」

「結局ね…旦那さん……
ベニーのこと何一つわかってない。
あの子の性格がどんなんだとか…どういうことを
我慢するのか 何をしたら喜ぶのか……。
何もわかってないから…苦しんで苦しんで
大好きな人と別れる決心したのに……
その人は他の男を好きになったって思いこんで
可哀そうで涙が出るわ。」


頭が混乱してた。

「俺だって あんたのことで泣いてる紅波を
何度奪おうかと思ったよ。だけど…あいつは…
あんたのことだけしか見えないんだ。
泣いて助けを求めて…俺の歌聞いて……
あいつがどれだけあんたのこと愛してて我慢してたか
…そばで見てた俺は 歌ってやることしかできなかった。
でもあいつのおかげで…俺もこうして
夢の舞台に近づいている……。」


「なんで・・・紅波は誤解を否定しないんだ。」


わからなくなっていた。


「あんたを…愛してるからさ。
ほんとあんた お気楽野郎だな。
仕事いくらできてもそれじゃダメだよ。
俺はここまでは話した。後は 紅波の本当の想いを
自分で見つけることだな。
まず食べようや。めっちゃ美味いんだって。
俺のばーちゃんのランチ。」


「とりあえず私たち
ベニーの力になれたかしらね。」

ミミさんが俺の顔を覗き込んで
悪戯っぽく笑った。
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