夫婦ごっこ
「紅波とはちゃんと割り切った付き合いだから
本当にこの生活に関しては 居心地がいい。
紅波はちゃんと役割を守ってくれてて その中で
どんどん成長してるし…ほんと助かるよ。」

褒めてくれて嬉しかった。

「でも…どうして結婚したの?
ずっと独身でもよかったじゃない?
好きな人ができたらどうするの?その人と
結婚したいって思ったら?それがちょっと怖いんだけど。」


「俺は…ないね。
もうそんな甘い気持ちは どっかに置いてきた。
人を本気で好きになって…傷つくのはもうたくさんだし。
永遠の愛なんてこの世にあるわけないんだって。
でもさ 紅波がどうしても他の男を好きになってしまったら
いつまでも居心地良くて浸かってるわけにはいかないから
必ず話してくれよ。」


「ね・・・・大学の時に付き合ってた人に
傷つけられちゃったの?」

トイレで聞いたあの言葉を
恒くんに勇気を出して言ってみた。


「え?なんだそれ?」
目を丸くしていた。

「結婚式の二次会の時 大学のマネージャーさんたちが
トイレで喋っていたから…。
その人と結婚するって思ってたみたいだった。」


  恒くんのこと もっともっと知りたい……。
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