ずっーと前から。【完結】

オギャーオギャー

分娩室から聞こえてくる赤ん坊の泣き声。

「おい、聖矢!生まれたぞ?」何も言えない俺に声をかけるのは親友の悟史。
「しっかりしろよ!」今度は背中を叩いてくる友達の耀太。

「ふふ。そっとしといてあげたら。聖矢くん泣いてるんだって!」光の親友の美優ちゃん。

「え、泣いてんのか?!」俺の前に立っている美優ちゃんの横にずらずらと来るみんな。

「やーだ!やめてよ、聖矢!」母親が爆笑している。
「お兄ちゃん父親になれんの?大丈夫?」妹の莉子までそんなことを言ってくる。

「感動に浸らせろ…」その発言で再び爆笑。

今度は父親が肩に手をのせてきた。
「分かるぞ、その気持ち」
「分かってたまるか!」
「いや、聖矢くん、俺も分かる」隣で今度は光のお父さん。

「うっ……」
「ははっ。光のお父さんにはお手上げだね、聖矢くん」美優ちゃんがそう発したことによりまた大爆笑。

「まじで…浸らせろ…」

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