まだ、君を愛してる.doc
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もう二年以上前の話だ。
僕は彼女もいず、寂しい休日を過ごしていた。日曜日のテレビと言うのは、どうしてここまで退屈なのだろう。ゴルフに、競馬、あとは主婦向けの旅番組やら、どうにも若向けの番組はない。
「つまらん。」
テレビに言ったからといって、番組が急に面白くなるでもない。見ている方が不快になるから、僕はテレビを消し、寝転んだ。
もう枯れてしまったはずの畳の匂い、それが今日に限ってしてきた。
「ん?どうした?」
この家に引っ越して来た時以来の匂いは、何かいい事があると告げているかのようだ。そして、それは当たった。
突然携帯が鳴った。
「うわっ。」
完全に油断して、ウトウトしていたから、驚くばかりで、携帯だと気づかずに電話が切れた。
「あ、あぁ、電話か。」
液晶には友達の名前、それも親友からだ。慌てて掛け直す。
「何?」
「なんだ、ちゃんと電話取れよ。」
「悪い。寝てた。」
「寝てた。やっぱ、そんなトコか。」
「そんなトコって、何それ。失敬な奴だな。」
漫才のように、ポンポンと掛け合いは続く。
「失敬って、今時使うか、そんな言葉?まぁ、それはいいや。これからも暇だよな?」
「やっぱ、失敬!と言っても、それを覆すような予定はもちろんござらんが・・・」
気を許しているせいなのだろう。どうも、こいつと話すと日本語がおかしくなってしまう。
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