まだ、君を愛してる.doc
「ところでさ、今日のお昼はどうするの?」
「どうって?」
「いや、また玉子屋?」
「うーんと、今日は気分を変えてコンビニにしようかと思っているんです。天気もいいし、公園で食べようかなって。」
「そっか、それは残念だな。」
柏はわざとため息をついて見せた。愛花がそれを気にならないわけがない。当然、聞いてくる。
「残念って・・・?」
「いや、良くやってくれるからさ、お昼ご飯でもご馳走しようかと思ってたんだけど、今日は無理そうだね。」
そして俯く。もう、常套手段と言っていい。完全に一連の動作が出来上がっている。蜘蛛の巣のように獲物を待ち構え、愛花はそこに、のこのこと現れた蝶だ。脚を大きく開かれ、蝶は捕まった。
「あ、その、大丈夫です。別に公園に行くのなんて、関係ないですよ。だって、一人で行こうかなって思ってただけですから。」
「で、でも・・・」
「本当に大丈夫です!」
「ははは・・・。わかった。じゃ、一緒に行こうか。それにしても、よほどご馳走になりたいらしいね。」
「そう言うわけじゃ・・・」
愛花は俯いた。
「冗談だよ、冗談。」
「なんだ、冗談ですか。」
素直だからこそ、冗談とわかり、屈託なく笑った。
二人は食事に向かう。ただ、会社の近所だから、おしゃれな店とかではない。ごくありふれたファミレスだ。
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