美加、時空を越えて

第3の扉~不思議な世界~

美加は、由香里との事を振り払うように頭を振ると
第3の扉の前へと進んだ。

由香里との事より、今、見ていた傷ついた兵士たちの姿が目に焼きついて離れなかった。
どんなに無念だっただろう。
病気の妻や両親の姿も見てしまった。
幼子たちは長引く戦で飢えていた。
彼らを残して死んでいくことは、どんなに心残りだっただろう。

田畑は枯れ 荒涼とした景色が美加の胸を打つ。
家は叩き壊され火がかけられる様子が、美加の脳裏に浮かんでは消えた。

その様子に耐えられなくなった美加は、大声で泣いた。
嗚咽が止まらない。
こんなに泣いたら気が狂うのではないかと思うほど泣いた。

(あの子達だけでも助かって良かった。)

前に来た時は、美加の目の前で幼子2人が殺された。
今度は武将と剣を交えないようにした。
敵として武将の前に立つのではなく、味方として振舞った。
その結果、武将は子供たちに手を下すことはなかった。

しかし、子供たちを助けられても、武将が美加である事に変わりがなかった。

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