美加、時空を越えて
氷の中は、寒く冷たく美しかった。
氷の粒がきらきらして美しい。
氷の粒は、白色のようにも見え、赤色のような青色でもあり、すべての色が合わさったような色だぅた。

氷はこの世のものではない程美しかった。
美加は寒さに震えた。
睫が凍り付いていくのが分かった。

……。半ば身体が凍り付いた時、氷は美加の手の指先から、ゆっくりと解け始めた。

手の甲、肘、首、胸、と
ぱきぱき音をたてて割れ始めた。

凍りついた睫が解け始め、ようやく目を半分開けることが可能になった時、遥か彼方に扉の出口が見えた。
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