美加、時空を越えて
美加の友人が、そのただ1人の例外だった。

その人は、量子力学と天文学の学者だった。
美加が、図書館で本を探していた時に同じ本を 同じ時間に手に取った。
手が触れ合った時、お互いの思いが、交差した。

学者は 妻を亡くしていた。
彼が運転する車が、事故に遭ったのだ。
怒りをぶちまけるような強い感情が、美加の心に流れた。
(……。僕があの時もう少し注意していれば妻は、死ぬことは無かったんだ。
僕が妻を殺したんだ。
何故妻が死んで僕が生きている?
有り得ない事だ。
僕が死ぬべきだったんだ)

学者の強く激しい感情は、美加の魂を激しく揺さぶった。


大事な人の命を救いたい。
美加には学者の気持ちが良く理解出来た。


美加は学者の研究を手伝った。

共に学び、共に泣き、共に笑った。

学者は、美加であり、美加は学者だった。

同じ思いを抱える唯一の相手……。


そして、成功への希望が見えた時、
学者は、時空の扉へと旅立った。

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