美加、時空を越えて
雷光が閃く。

美加は、飛んでよけた。
美加のいた場所が焦げ、嫌な臭いが周囲に充満する。

竜巻は、「ゴーッ」という唸り声を上げて、上空へ砂を舞い上げている。
美加の周りの風が、美加の髪を乱暴に掻きあげる。
美加の身体は、今にも浮き上がりそうだ。

狭い空間の中、竜巻が過ぎ去る事は無い事を美加は知っていた。
速度を計算しながら同じスピ-ドで走り出す。
右へ動く時には左へ、左へ動く時には右へ。
なんというスピ-ドだろう。
中心部の最高時速400キロだと聞くが、
それ以上のような気がする。

この日の為に身体能力を高めていたから
美加は最高時速100キロまで出せた。

竜巻は一向にこちらへ近ずいて来る様子がなかった。

（前に此処に来たときよりも　勢力が上がっている……。
一つの竜巻なら通過できるけど　
次の竜巻がいたらやばいな）

そう考えながら　上から観察することにした。
美加は、高く飛び上がった。
灰色のくぐもった視界ゼロの空だ。
何も見えない。
じっと目を凝らすと、竜巻は１つだけ見えた。



(今だ、いける）
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