パラドックスガール
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「すっごく好きなんだ。まだ片想いだけど。
だからごめんね。」


そう言ってその場を後にしようと背を向ける。
一歩踏み出した時、腕を掴まれ歩みを止めさせられた。
仕方なく振り向くと、


「あたしなら、羽田野さんと違ってちゃんと香坂君の想いに応えられるわ。
だから―」


「木下さん」


彼女の口に人差し指を当て、黙るように促した。
木下さんは動揺したのか、チラチラと目を泳がせている。
僕は笑い、顔を近づけた。
木下さんの顔が赤くなってひきつる。


「木下さん、僕ね、別に応えてくれる人がほしいわけじゃないんだよ。」


「こ、香坂く」


「僕がほしいのは茗子で君じゃない。
知ってるでしょ?好きな人の代わりなんていないことぐらいさ。
だから木下さんも必死になるんでしょ?」



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