あくまで天使です。


私は部活で鍛えた脚力をフルで使った。


やがてひどく懐かしく思える家へ滑り込み、鍵をかける。


いやなものすべて家へ一歩も入れないように。私は安堵のため息をついて、靴を脱ぐ。


………あれって幻覚だったのかな?


最近部活が忙しくてあまり休んでいないからかも。今日は練習止めてゆっくり休もうっと。


玄関にかけているカレンダーをチラリと見上げ、またまた嘆息も漏らした。


2ヶ月後の今日が母の命日だった。


重い気持ちを引きずり靴下になり、ひたひたと廊下を進む。


「………でーあるからして。悪魔というのは本当にいるんですよ!」


ぴたりと足が止まった。


機械音を通しての声。テレビを消し忘れたのか、と私は自分を責める。


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