あくまで天使です。


「ギブギブギブー!腕がもげるー!」


腕ひしぎ襟十字固めというマニアックな技を現在進行形でくらっている私の上で、奴は女神のような安らかな微笑みを保っている。


「もげそう?だったらいっそもがしたほうがいいわよナギサ」


マウンティングポジションで私を苦しめるのは、花村 月緋(はなむら つきひ)だ。


ばきばきっと洒落にならない音を立てる私の左腕を絞め続け、いっそすがすがしいほどの笑み。


意識が飛ぶか腕がとれるか、どっちが先にゴールするかという時に、べリアルが部屋に飛び込んできたくれた。


「おっおいナギサ!何があったんだ!つーか誰だよこいつ!」


「あんたこそ誰?まさかあんたがナギサを部活へ行かさないように監禁してたんじゃないよね?」


月緋はやっと私を解放し、にこにこと標的をべリアルへ変えた。


< 122 / 625 >

この作品をシェア

pagetop