あくまで天使です。
私は不合理なベリアルの怒りに目を疑った。
なんで名前のことでそこまで怒るんだろうか………。それとなんで私にだけベリアルって呼ばれても平気な顔しているんだろう。
二つの疑問が喉の奥まで押し寄せてきたが、それを吐き出すのは躊躇われた。この空気でそれを訊けたら勇者だ。
私は魔法使いのように仲間をサポートするスタンスでいい。
「それじゃあブラッハーさんでいいかしら?」
調子を取り戻した月緋がそういうと、ベリアルがやや苦笑して承諾した。
私はベリアルのこめかみに流れる汗を見逃しはしなかった。